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ロバの子 驢仔 驢孩子 Donkey Child

作者 Lindiwe Matshikiza

插圖 Meghan Judge

譯文 Yuka Makari

配音 Yumi Okano

語言 日語

級別 3級

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ある日のことです。小さい女の子が遠くのほうに不思議な形をしたものをみつけました。

有個女仔最先發現遠處有個好奇怪嘅影喺度。

有個女孩最先發現了遠處有個奇怪的身影。

It was a little girl who first saw the mysterious shape in the distance.


その形が近づいてきたとき、女の子は大きなお腹をした妊婦さんだと気が付きました。

嗰個影越嚟越近,佢終於睇清楚咗嘞,係一個就快要生仔嘅女人。

那個身影越靠越近,她看清楚了,那是一個快生孩子的婦女。

As the shape moved closer, she saw that it was a heavily pregnant woman.


その女の子は恥ずかしがりやでしたが、勇気のある子だったので、妊婦さんに近づきました。女の子やみんなは、その妊婦さん妊婦さんとそのこどもを自分たちの所において、しっかりと守ることに決めました。

個女仔有啲怕醜,但佢都係好勇敢噉樣走上前。同女仔隨行嘅人就話:「我哋一定要同佢一齊,一定要保護佢同埋佢個仔。」

女孩有點兒害羞,但她還是勇敢地走上前去。和女孩隨行的人們說:“我們必須和她呆在一起,我們必須保護她和她的孩子。”

Shy but brave, the little girl moved nearer to the woman. “We must keep her with us,” the little girl’s people decided. “We’ll keep her and her child safe.”


赤ちゃんは今にも生まれそうです。みんなが彼女を助けました。「押すんだ!」「毛布をもってきて!」「水をちょうだい!」「押してーーー!!!」

個仔好快就要出世㗎嘞。「大力啲吖!」「快啲攞條毛氈嚟!」「水!」「再大力啲!」

孩子很快就要降生了。“用力啊!”“快拿毯子來!”“水!”“再用點力!”

The child was soon on its way. “Push!” “Bring blankets!” “Water!” “Puuuuussssshhh!!!”


しかし、赤ちゃんが出てきたとき、彼らは驚きで飛び跳ねました。「ロバ?!」

當佢哋見到個仔嘅時候,所有人都嚇咗一跳,「一隻驢仔?」

當他們看到孩子時,所有人都嚇了一跳,“一頭驢?”

But when they saw the baby, everyone jumped back in shock. “A donkey?!”


みんなは話し合いを始めました。「私たちは彼女のことも赤ちゃんも守ろうと決めて手助けをしたんでから、そうしよう」「でも、彼らは私たちに不吉をもたらすに違いない」

大家七嘴八舌噉嘈起上嚟。佢哋就話:「我哋講過要保護呢個媽咪同細蚊仔嘅,講得出就要做得到。」但係仲有啲人就話:「但係佢哋會佗衰我哋㗎。」

大家七嘴八舌吵起來。一些人說:“我們說過要保護母親和孩子的,我們必須這樣做。”但是還有一些人反駁說:“但是他們會給我們帶來厄運。”

Everyone began to argue. “We said we would keep mother and child safe, and that’s what we’ll do,” said some. “But they will bring us bad luck!” said others.


そうして、彼女はまた一人ぼっちになってしまいました。彼女はこのぶかっこうな赤ちゃんをどうやって育てればいいか、自分はどうするべきか、わかりませんでした。

個女人發現自己又係孤零零一個人嘞。佢唔知道點湊個咁怪嘅仔,亦都唔知道自己應該點算。

婦女發現自己又孤零零一人了。她不知道該拿這個奇怪的孩子怎麼辦,她也不知道自己該怎麼辦。

And so the woman found herself alone again. She wondered what to do with this awkward child. She wondered what to do with herself.


しかし、彼女は、ロバが自分の子どもであり、自分はロバの母親であることを受け入れなければなりませんでした。

最屘,佢決定接受呢個仔,做佢嘅媽咪。

最後,她決定接受這個孩子,做他的媽媽。

But finally she had to accept that he was her child and she was his mother.


その子どもが小さいままでいてくれれば、すべては違っていたでしょう。しかし、そのうちにロバはどんどん育って、彼女がおんぶできないくらい大きくなってしまったのです。そしてその子はどんなにがんばっても人間と同じようにはふるまえませんでした。母親は疲れ、イライラして、自分の子どもに動物がするような仕事をさせたりしました。

如果個仔一直都係咁細,唔會長大嘅話,所有嘢都會易話為啲。但係隻驢仔越長越大,再唔能夠俾媽咪孭住喺背脊上面。無論佢幾努力,始終模仿唔到人類嘅行為。佢媽咪經常會覺得又癐又𤷪。有時,佢仲會叫佢做埋啲動物先至會做嘅粗重嘢。

如果這個孩子一直這般大小,不長大的話,一切都會變得不一樣。但是這個驢孩子越長越大,現在他再也不能趴在媽媽的背上。無論他多麼努力,他始終不能像人類一樣。他的媽媽累了,放棄了。有時候,她讓他做一些動物會做的工作。

Now, if the child had stayed that same, small size, everything might have been different. But the donkey child grew and grew until he could no longer fit on his mother’s back. And no matter how hard he tried, he could not behave like a human being. His mother was often tired and frustrated. Sometimes she made him do work meant for animals.


混乱や怒りの気持ちがロバの中にどんどんたまっていきました。これはできないし、あれもできない。これにはなれないし、あれにもなれない。たまりにたまった怒りから、ついにロバはお母さんを地面に蹴り飛ばしてしまいました。

驢仔覺得好迷茫,又好勞氣。成日呢樣又唔得,嗰樣又唔得。有一日,佢大發雷霆,一腳就踢佢媽咪落地下。

驢孩子感到迷茫,也很生氣。他這個也不能做,那個也不能做。他不能這樣,也不能那樣。有一天,他太生氣了,一腳把他的媽媽踹到地上。

Confusion and anger built up inside Donkey. He couldn’t do this and he couldn’t do that. He couldn’t be like this and he couldn’t be like that. He became so angry that, one day, he kicked his mother to the ground.


ロバは自分のしたことに対し恥ずかしい気持ちでいっぱいになり、精一杯の速さでその場からなるべく遠くへと走り去ってしまいました。

驢仔覺得好羞家,唯有離家出走,走得越遠越好。

驢孩子羞愧極了,他逃跑了,跑得越遠越好。

Donkey was filled with shame. He started to run away as far and fast as he could.


気がつくとあたりはすっかり夜になり、ロバは道に迷ってしまいました。「ヒヒーン…」彼は暗闇のなかささやきました。「ヒヒーン?」それはこだまとなって返ってきただけでした。彼はひとりぼっちでまるくなり、深い、悲しいねむりにつきました。

當佢停低落嚟嘅時候呢,天都已經黑晒,驢仔蕩失路嘞。佢喺暗黑中「哼哼」聲叫住,暗黑中傳返嚟回聲,「哼哼」。佢孤零零一支公,卷成咗一團,心中充滿煩惱,就淰淰噉瞓著咗。

當他停下來的時候,天已經黑了,驢孩子迷路了。他在黑暗裡哼哼,“咴咴”,黑暗中傳來了回聲,“咴咴”。他孤零零的一個人,卷成了一團,心中充滿煩惱,沉沉地睡去。

By the time he stopped running, it was night, and Donkey was lost. “Hee haw?” he whispered to the darkness. “Hee Haw?” it echoed back. He was alone. Curling himself into a tight ball, he fell into a deep and troubled sleep.


ロバが起きると、そこには知らないおじいさんがロバをじっと見つめて立っていました。おじいさんの瞳の中をじっと見ると、そこに小さな希望の光が見えてきました。

驢仔醒返嚟就發現有個老人耷低頭望住佢。佢睇住老人對眼,感覺到一絲希望。

驢孩子醒了,他發現有個老人低頭盯著他。他看著老人的眼睛,感覺到了一絲希望。

Donkey woke up to find a strange old man staring down at him. He looked into the old man’s eyes and started to feel a twinkle of hope.


ロバはおじいさんといっしょに過ごすことにして、ついていきました。おじいさんはロバに生き抜くためのたくさんの方法を教えてくれました。彼はその教えをよく聞き、学びましたし、おじいさんももまたロバの話を聞いて学びました。彼らはお互いに助け合い、笑いあって時を過ごしたのです。

驢仔同老人一齊住,老人教識咗佢好多生存嘅本領。驢仔認真聽住老人,學得好快。老人亦都學到咗好多嘢。佢哋互相幫助,遇到開心嘅事就一齊哈哈大笑。

驢孩子和老人住在一起,老人教會他很多生存的本領。驢孩子認真地聽著,學得很快。老人也學了很多。他們互相幫助,遇到開心的事情就一起哈哈大笑。

Donkey went to stay with the old man, who taught him many different ways to survive. Donkey listened and learned, and so did the old man. They helped each other, and they laughed together.


ある朝、おじいさんはロバに自分を乗せて山のてっぺんにつれていくようお願いをしました。

一日朝頭早,老人叫驢仔帶佢去山頂上面。

一天早上,老人讓驢孩子帶他到山頂。

One morning, the old man asked Donkey to carry him to the top of a mountain.


彼らは雲の上で眠りに落ち、ロバはお母さんが病気になり、自分のことを呼んでいる夢をみました。そして、ロバが起きたときには…

佢哋登上山頂,環繞喺雲霧中,瞓著咗。驢仔發夢見到佢媽咪病咗,正喺度叫佢,然之後佢就醒咗……

他們登上山頂,環繞在雲霧中,睡著了。驢孩子夢到他的媽媽生病了,正在呼喚他,然後他就醒了......

High up amongst the clouds they fell asleep. Donkey dreamed that his mother was sick and calling to him. And when he woke up…


雲も、親愛なるおじいさんも消えてなくなっていました。

……雲霧消失咗,佢嘅朋友—嗰個老人—亦都消失咗。

......雲霧消失了,他的朋友—那個老人—也消失了。

… the clouds had disappeared along with his friend, the old man.


ロバはついに自分がどうするべきかがわかりました。

驢仔終於知道佢要點做嘞。

驢孩子終於知道要做什麼了。

Donkey finally knew what to do.


ロバは、息子を失って悲しみにくれていたお母さんを見つけることができました。彼らはお互いに長く見つめあい、そして強く抱きしめあいました。

驢仔搵到佢嘅媽咪,佢孤零零一個人,正喺度為佢走失嘅仔仔而傷心。佢哋凝望住對方好耐,然之後緊緊噉擁抱。

驢孩子找到了他的媽媽,她孤零零一個人,正在為走失的孩子傷心。他們互相打量了很久,然後緊緊地抱在了一起。

Donkey found his mother, alone and mourning her lost child. They stared at each other for a long time. And then hugged each other very hard.


ロバと彼のお母さんは一緒に成長し、協力して暮らしていく方法をたくさん見つけていきました。ゆっくりではあるけれど、周りのひとびとや他の家族たちも徐々に彼らのところに引っ越してきました。

驢仔同媽咪一齊住,慢慢長大,仲學識咗點樣共同生活。慢慢,其他家庭亦都搬咗嚟佢哋左近,住咗落嚟。

驢孩子和媽媽住在一起,慢慢長大,學會了如何共同生活。漸漸的,其他的家庭也搬到他們附近,住了下來。

The donkey child and his mother have grown together and found many ways of living side by side. Slowly, all around them, other families have started to settle.


作者: Lindiwe Matshikiza
插圖: Meghan Judge
譯文: Yuka Makari
配音: Yumi Okano
語言: 日語
級別: 3級
出處: 原文來自非洲故事書Donkey Child
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