怠け者のアナンシ

アナンシというクモがいました。アナンシはとても怠け者で、自分のご飯を自分で作りません。そのかわりに、アナンシは友達が作ったおいしいご飯を食べに友達のところに行きます。

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ある日、うさぎさんの家の前をアナンシがとおったとき、野菜を作るにおいがしてきました。アナンシはとてもワクワクしていました。うさぎさんはアナンシに言いました。「まだ野菜の準備ができてないんだ。待っているあいだに、洗いものを手伝ってくれない?」アナンシは「ごめんね、やることがあるんだ。またくるよ。」と答えました。

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すると、うさぎさんが「野菜ができたら呼ぼうか?」とアナンシに聞きました。そこでアナンシは少し考え、こういいました。「クモの糸を使うよ。クモの糸の片方を僕の足にむすんで、もう片方をきみのおなべにむすぶんだ。野菜ができたら、糸をひっぱって僕に知らせて。そうしたらすぐにくるからさ」。そしてアナンシはクモの糸をおなべにくくりつけ、歩いていきました。

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つぎに、アナンシは豆を煮ていたおさるさんたちに会いました。「もうすぐ豆ができるんだ。一緒に食べようよ!」とおさるさんは言いました。アナンシは「ごめんね、やることがあるんだ。クモの糸の片方を僕の足に、もう片方をきみたちのおなべにむすんでもいいかい?豆ができたら、糸をひっぱって僕に知らせてよ。そうしたらくるからさ」。

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アナンシがイボイノシシさんの家のそばを通りかかったとき、サツマイモのいいにおいがしてきました。イボイノシシさんはアナンシに言いました。「たくさんのサツマイモと蜂蜜を作ったから、一緒に食べようよ。このフォークでかきまぜるのを手伝ってくれない?」。アナンシは答えました。「あとでもどってくるよ。クモの糸の片方を僕の足に、もう片方をきみのおなべにむすんでもいいかい?サツマイモができたら、糸をひっぱって僕に知らせてよ。そうしたらくるからさ」。

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アナンシが川につくころには、8本ある足にはそれぞれおいしい食べものがくくりつけられていました。そして、アナンシは1本の足がひっぱられるのを感じました。「うさぎさんのご飯ができたんだ!」と思い、よだれがでてきそうです。

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アナンシの2本目の足も引っぱられました。すると、3本目、4本目、5本目、6本目、7本目、8本目とひっぱられます。みんなが同時にクモの糸をひっぱっているのです!アナンシの足がのびて細く細くなっていくので、かれは「やめて!やめて!」といたくて泣いてしまいました。でも、アナンシの声はだれにも聞こえません。

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ついには、それぞれのクモの糸はきれてしまいました。アナンシはいたみをなくすために、足を川の中にいれましたが、かれの足の形はかわってしまい、もとの足にはもどりませんでした。アナンシはとてもはずかしくなって、その日はどの友達にも会いにいくことができなくなってしまいました。

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怠け者のアナンシ

作: Ghanaian folktale
絵: Wiehan de Jager
訳: Kii Takahashi
言語: 日本語

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